
マンションは売却と賃貸で貸す、どっちがお得?メリットとデメリットを解説
マンションは売却すれば一度にまとまった現金を手に入れられ、賃貸にすれば長期的に家賃収入を得ることができます。
しかし、それぞれにメリット・デメリットがあり、状況によって最適な選択肢は異なります。
マンションの売却と賃貸の違いを比較し、判断基準について解説します。
マンションを売却した場合のメリットとデメリット
結婚、離婚、同居、転勤などライフステージの変化により、マンションの売却を考える方は少なくありません。
ただし、マンションは売却したほうがよい場合と、賃貸物件として貸し出したほうがよい場合もあります。
間違った判断をして損をしないように、まずはマンション売却のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
マンションを売却するメリット
マンションを売却するとどのようなメリットがあるのか、わかりやすく解説していきます。
一度にまとまった現金が手に入る
マンション売却の最大のメリットは現金化しやすいことです。
手にした資金は新たな住まいの購入資金、起業を考えている方であれば運営資金、安定した老後を送るための資金など、さまざまな可能性を広げることができます。
また、賃貸経営では管理費・修繕積立金・固定資産税などの維持費がかかりますが、それらがいらなくなるところも利点です。
建物の維持について考えなくていい
管理費・修繕積立金、固定資産税、都市計画税の多くが不要になるので
「毎月の支払いは?」と気をもむ心理的負担がなくなり気持ちにゆとりが生まれます。
税制優遇により税金を抑えられる
マンション売却では、税制優遇を活用することで税負担を軽減することが可能です。
たとえば、一定の要件を満たすことで「3,000万円の特別控除」が利用できます。
売却するマンションが居住用であり、売却する年の前年または前々年に同じ控除を受けていない場合に適用されます。
5,000万円(売却価格)- 2,000万円(取得費)- 100万円(譲渡費用)= 2,900万円(譲渡所得)
上記の場合は、譲渡所得が2,900万円なので特別控除により課税されません。ただし、投資用物件や賃貸中の物件には適用されないので注意しましょう。
また、所有期間が10年を超える居住用不動産を売却した場合、軽減税率の適用を受けることも可能です。要件を満たしているか判断が難しいときは専門家へ相談してみましょう。
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
ライフスタイルの変化に対応
結婚、離婚、子供の独立、老後など、人生ではさまざまな転機があります。
たとえば、お子様が生まれる場合は子育てがしやすいエリアに住み替えるなど、マンション売却はライフスタイルに合わせて最良の選択をすることが可能です。
マンションを売却するデメリット
マンション売却はメリットだけでなくデメリットもあるため、詳しく見ていきましょう。
売買が成立するまで時間がかかる
売買が完了するまでは、不動産会社の選定や買主との話し合い、売買契約の締結、引き渡しと多くの工程があります。
築年数が古いマンションの場合、買主が見つかるまで時間がかかることがあるため、売却まで1年以上かかるケースも少なくありません。
すぐに売却できるとは限らないことはデメリットといえるでしょう。
売却損が発生する場合がある
景気の悪化、マンション需要の減少、近隣エリアに新築物件が大量に供給されるなどの影響により、マンションの相場が下がる可能性があります。
マンションの売却価格がローン残債を下回る場合、差額を自己資金で補填しなくてはいけません。
資産がなくなる
マンションを所有していれば自分で住むことができますが、売却して賃貸に住み替えた場合は資産がなくなります。
また、病気で働けなくなり収入が減ったときなど、いざという時の現金化ができなくなるというリスクもあります。
希望金額で売却ができないことがある
築年数が古い、立地条件が悪いなど不動産としての魅力が乏しいと、希望した金額で売却するのが難しくなるでしょう。
たとえば、周辺の相場よりも設定した売却価格が高かったり、駅から遠くてアクセスが不便だったりすると、買い手が見つかりにくくなります。
また、近隣の治安が悪い、近くに商業施設が少なく生活の利便性が低い場合も、購入を控えられる原因になることがあります。
マンションで賃貸経営した場合のメリットとデメリット
マンションでの賃貸経営は、家賃収入による資産形成が魅力ですが、空室リスクや管理の手間は避けられません。
しかし、好立地にあり入居者に快適な環境を提供できれば、安定した家賃収益が期待できます。
賃貸経営のメリットとデメリットについて分かりやすく説明します。
賃貸経営するメリット
まずは、マンションで賃貸経営をするメリットについて見ていきましょう。
家賃収入が得られる
賃貸経営では家賃収入が得られることが一番のメリットです。ローン返済や管理費を引いた分が利益になり、安定した収入源となれば日々の生活が豊かになります。
不動産としての魅力が高ければ、不労所得として働かなくても暮らしていけるかもしれません。
物件を資産として活用できる
民泊運営やシェアハウスにすることで、土地や建物の価値が上がるまで保有し、適切なタイミングで売却することで利益を得られます。
また、リノベーションして価値を上げて転売するなどの活用方法があります。
経費として計上することで節税できる
マンションの賃貸経営で発生した費用の一部は、経費として計上することが可能です。
- 減価償却費(大規模リフォームや改修費用)
- 管理費
- 修繕費(原状回復や設備交換)
- 仲介手数料
- 固定資産税
- 都市計画税
- 広告宣伝費(マンション売却に関連する場合)
- ローン金利
- 火災保険
- 地震保険
上記の項目は確定申告で経費として計上できるため、課税される金額を抑えることで家賃収入を最大化できます。
将来の選択肢が増える
所有するマンションを賃貸物件とすることで、将来住み替えが必要になった時に自分や子供が住むことができます。
また、賃貸中のマンションは、相続税評価額が実際の市場価格より低くなることが多いため、相続税の負担軽減が可能です。
個人ではなく法人化して賃貸経営を行うと、所得税や相続税を節税しながら運用できます。
賃貸経営した際のデメリット
賃貸経営を行ったときのデメリットやリスクについて詳しく解説します。
空室が発生すると収入が減る
当然のことではありますが、空室率が高いと家賃収入が減少し、不動産収入に大きな影響を与えます。
空室期間をできるだけ短くするため、広告を打ったり家賃を下げたりと入居者募集の対応を行う必要があることはデメリットといえます。
修繕費や維持費がかかる
マンションに入居者がいてもいなくても、以下のような固定費が発生します。
- 修繕費
- 維持費
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 都市計画税
- ローン返済
賃貸経営を行うときは、利益だけでなく毎月の固定費についても計算しておくことが大切です。
住宅ローンが使用できない
住宅ローンは自己居住用が条件になっているため本人、配偶者、子供、親などの親族が住むことが条件になっています。
「賃貸目的」「投資用」のマンションで利用すると契約違反となるため、住宅ローンは使用できなくなります。
その際、ローンの一括返済をもとめられたり、ローンの借り換えや追加融資ができなくなったりするため注意が必要です。
借主が事故により不動産の価値が下がる
入居者が孤独死、自殺、殺人、火災など、事件や事故に巻き込まれた場合は「事故物件」として扱われる可能性があります。
事故物件は一般的に市場価値が低下しやすいといわれています。
また、事故物件は一定期間告知する義務があるため、入居者が決まるのに時間がかかるかもしれません。
マンションの売却か賃貸を選ぶときの判断基準
マンションで売却か賃貸経営のどちらを選ぶかは、ライフプランと経済状況で判断が必要です。
そうはいっても売却か賃貸のどちらを選べばいいか迷う方は多いでしょう。
分かりやすく判断基準を説明しますのでぜひ参考にしてみてください。
物件の築年数で判断する
不動産の築年数は売却か賃貸か判断するうえで重要なポイントです。
築年数が浅いほど売却しやすく、高値が期待できます。 また、築年数が経過していても条件が良ければ賃貸は高いでしょう。
一方、築20年以上になると売却価格が下がる傾向があるため注意が必要です。
参考:公益社団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」
賃貸経営した場合の利回りをみる
賃貸の「利回り」とは、物件に支払った金額に対して、どれだけ利益(リターン)があるのか割合を数値化したものです。
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類あり、それぞれの計算式を元に説明していきます。
表面利回り
表面利回りは経費を考慮しないため、以下のように大まかな収益性を見るための指標です。
表面利回り =年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
※仲介手数料やリフォーム費用などの購入諸費用は考慮していません
実質利回り
一方、実質利回りは利益から経費を引くことで、より正確に収益性を把握できます。
実質利回り =(年間家賃収入 – 年間経費) ÷ (物件価格 + 諸費用) × 100
一般的に利回りが高いほど収益性が高いと判断されるため、数値によって賃貸経営を選択するとよいでしょう。
周囲の競合物件を確認する
周囲にあるマンションの入居率が低い場合、賃貸経営は少し注意が必要です。
所有するマンションの状態にもよりますが、空室リスクにより家賃収入が減る可能性もでてきます。
マンション経営が厳しい場合は、売却を視野に入れて考えましょう。早めの判断が損失を最小限に抑える鍵になります。
ローンの残債と売却価格を比較する
マンションを売却するときは、ローンの残債と売却価格を比較します。
売却価格がローン残債を上回れば利益が確定します。一方、ローン残債が売却益を上回ると継続して支払いが発生します。
また、売却時は土地と建物の価格だけでなく、仲介手数料などの諸経費も考慮して慎重に対応してください。
賃貸経営したときに得られる家賃収入と売却益を天秤にかけ、最適な選択をすることが大切です。
売却価格のピークを狙う
マンション需要がピークのタイミングであれば、高値での売却できる可能性が高まります。
そうはいっても、今後の価格動向に注視し、慎重に判断をしなくてはなりません。
売却益でローン完済できない場合は、不動産会社と相談して最適なタイミングを見極めましょう。