離婚後にマンション売却は必要?住宅ローンや財産分与について分かりやすく解説
離婚に伴いマンションを売却する人は少なくありませんが、中には売却せずに住み続ける人もいます。
この記事では、離婚後のマンション売却をするケースと住み続けるケースの両方を詳しく解説。
また、売却する際に確認することや手続きの流れについても分かりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
離婚時にマンションを売却すべきケースと売却を控えるべきケース
離婚時にマンションを売却したほうがよいのか、またはマンションに住み続けたほうがよいのか迷う方は多いでしょう。
ここでは離婚時にマンションを売却するべきケースと控えるべきケースについて解説します。
マンションを売却したほうがいいケース
リライフテクノロジーが行った、離婚時の不動産処分に関する調査結果では「不動産を売却する」という回答が約3割という結果でした。
回答の割合は以下の通りで、「離婚するとしたら住んでいた家はどうすると思いますか?」という質問に対して、「売る」と答えたのが32.3%。「自分が住む」が28.2%、「相手が住む」は19.3%、そして「賃貸にする」と答えたのが7.1%となっています。
離婚に伴いマンションを売却した方がいいケースとしては、思い出を引きずりたくない・気持ちをリセットして新しい生活に臨みたいといったものが考えられます。
また、新生活のために現金化させたいという人もいるでしょう。
売却額によってはローンの問題がなくなるほか、離婚時の財産分与の対象にできるなど、多くのメリットがあります。
マンションを売却せず住み続けたほうがいいケース
一方で、離婚をしてもマンションを売却せずに住み続ける方もいます。
この場合、夫か妻のどちらかが家に残って住み続ける形です。自分が残る側であれば、住み慣れた環境で生活を継続できるというメリットがあります。
また、引っ越さないため金銭的な負担を抑えられるでしょう。
離婚でマンションを売却する前に確認しておくこと
離婚に伴いマンションを売却する際に確認することを紹介します。
売却すると決めたときに何をすればいいのか迷わないようにするためにも、事前に内容を把握しておきましょう。
マンション売却における財産分与
離婚に伴いマンションを売却する場合、マンションは財産分与の対象です。
財産分与とは、結婚している間に夫婦で購入した共有の財産を分配することを意味します。
対象となるのはマンションのような不動産のほか、家具や家電、車、退職金なども該当し、夫婦どちらの名義かは問われません。
不動産の場合、所有名義が夫名義または妻名義のどちらであっても、結婚後に購入したマンションは夫婦共同で築いた財産(共有財産)とみなされます。
そのため、財産分与の対象となり、原則として2分の1ずつ分けられるでしょう。
ただし、一方が購入費用の大半を負担していた場合や婚姻期間が短い場合など、特別な事情によって分与の割合が変わる可能性があります。
また、離婚の原因がどちらにあるかに関係なく、財産分与の請求権は認められます。
ただし、住宅ローンが残っている場合や婚姻前の財産である場合は、別途調整が必要です。
住宅ローンが残っている場合の返済方法
売却時に住宅ローンが残っている場合、どのような方法で返済するかきちんと確認しておきましょう。
住宅ローンの主な返済方法としては以下が挙げられます。
- アンダーローン
- オーバーローン
- 住みながら売却
アンダーローンとは、マンションの売却額がローンの残債を上回っており、売却すればローン完済となる状態のことです。
売却額からローン残債を引いてもまだ手元にお金が残るようであれば、その金額は財産分与の対象となります。
オーバーローンとは、マンションを売却してもローン残債がある状態のことです。
この場合、売却後の残債を自己資金でカバーできるのであれば売却自体は行えます。
しかし、自己資金でカバーできない場合は売却自体ができず、任意売却という形でマンションを売ることになるケースが一般的です。
そのほかにも住みながら売却の準備を進めるという方法もあります。
離婚のタイミングと不動産を売却するタイミングが必ずしも一緒になるとは限らないため、売却する買主をゆっくり探すことができるでしょう。
ただし、離婚後にマンションが売れない状態が長く続くと、マンションのローンの支払いと新生活を始めるための費用負担とが二重で発生するため注意が必要です。
離婚時のマンションの名義変更
マンションの名義が共有名義だった場合、必要に応じて売却前に名義を変更しておきましょう。
マンションの名義と一口にいっても、「家の名義」と「住宅ローンの名義」の2種類があるため、それぞれの名義を変更する必要があります。
家の名義を変更をしても、住宅ローンの名義が夫婦の共有名義のままといったケースでは、夫婦両方にローンの返済義務が残ってしまうため注意してください。
マンション売却にかかる税金の費用
マンションの売却をすると、以下のような税金および諸費用が発生します。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 金融機関へ支払う事務手数料
- 司法書士への報酬
- 仲介手数料
- ハウスクリーニング
- 引越し代
印紙税とは、不動産の売買契約書に貼る印紙代のことです。登録免許税は、住宅ローンの抵当権抹消の際に発生する税金が該当します。
そして、譲渡所得税は、不動産の売却時に利益が発生した場合に課税されます。
また、抵当権抹消手続きを司法書士に依頼する場合は別途報酬を支払う必要があるほか、住宅ローンの借り入れをしている場合は金融機関にも事務手数料を支払いが必要です。
そのほかにも、不動産会社に依頼して売却が成功した場合は仲介手数料を支払いますし、引き渡し前にマンションを綺麗にする場合はハウスクリーニング代が発生します。
離婚時にマンションを売却するときの手続きと流れ
ここでは、離婚でマンションを売却する際に、必要となる書類と具体的な手続きの流れについて解説します。
マンションの売却には多数の書類が必要となり、手続きのステップも多いためここでチェックしておきましょう。
売却までに準備しておく書類
売却までに不動産会社に準備しておく書類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 身分証明書
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 固定資産税・都市計画税納税通知書や固定資産税評価証明書
- 分譲時のパンフレット
- 住宅ローンの返済予定表または残高証明書
- 建物状況調査書(インスペクション報告書)
- 既存住宅売買瑕疵保険の証明書
- リフォーム箇所が分かる資料
- 耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書
マンションの売却にあたっては、まず不動産会社の査定を受け、査定結果などを踏まえたうえで媒介契約を結びます。
その際、売主となる方の身分証明書をはじめとして、マンションの状況を確認するために使用する各種書類の提出を求められます。
売買契約を結ぶときに必要になる書類は以下のとおりです。
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書
- 付帯設備表
- 建築設計図書・工事記録書
- 売買契約書
- 物件状況確認書
- 登記済証
無事に買主と売買契約を結ぶ際、契約書に実印を使用するため実印および印鑑証明書が必要です。
次に、引き渡しの際に必要になる書類の一例になります。
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 住民票(住所移転している場合)
- 身分証明書
- 固定資産税納税通知書の写し
- 管理費及び修繕積立金の額の確認書
- 分譲時のパンフレット
- 抵当権の抹消に必要な書類
- 管理規約・理事会の会計報告書や議事録
- 設備取扱説明書・保証書
不動産の引き渡しでは、登記済証または登記識別情報を買主に渡さなければなりません。
また、売主がすでに住所移転している場合は住民票も必要です。そのほかにも、固定資産税評価証明書や固定資産税納税通知書の写し、抵当権の抹消に関する書類なども用意しておきます。
マンションを売却するときの流れ
マンションを売却する場合、不動産会社を探して売却の申し込みをして、契約を結び、実際に引き渡しをするまで以下のようなステップを経ることとなります。
下記は、国土交通省がまとめた不動産売却の流れです。
出典:国土交通省ウェブサイト
売却だけでも複数のステップがあり、スムーズに進まない可能性も考えられます。
できるだけ早くマンションの売却をしたい方は、早めに準備を始めておくとよいでしょう。
まとめ
今回は、離婚に伴いマンションを売却する際に確認しておくべきこと、具体的な手続きや流れなどについて解説しました。
離婚に伴ってマンションを売却するケースは少なくありませんが、中には片方が住み続けるなど売却しないケースもあります。
売却する場合は財産分与をどうするのか、住宅ローンの返済はどうするのか、名義を変更するなど、後々トラブルにならないように確認することが大切です。
一人で対応するのが不安という方は、不動産会社や専門家に相談しながらスムーズに進める準備をしましょう。